山縣亮太とケンブリッジ飛鳥が、リオ五輪の決勝進出をかけて挑んだ陸上男子100m準決勝。現地14日夜に行われた挑戦は大きな壁との戦いでもあった。第2組を走る山縣はウサイン・ボルト(ジャマイカ)を筆頭に、昨年の世界選手権3位同着のトレイボン・ブロメル(米国)とアンドレ・デグラス(カナダ)と同組。第3組のケンブリッジ飛鳥は今季世界ランキング1位のジャスティン・ガトリン(米国)、ロンドン五輪銀メダルのヨハン・ブレーク(ジャマイカ)が同組だったからだ。
それでも第2組の山縣は、勝負をする走りをみせた。スタートで隣の9レーンのブロメルと並んで先行。中盤からビッグネームの選手たちに抜かれたが、自己記録の10秒05を出して5位でゴールしたのだ。
「4年前のロンドン五輪でも準決勝へ進出しましたが、世界との差はまだ一歩あると感じた。昨日の予選でも同じ感覚だったが、準決勝では自分のスタートから中盤までの走りが通用するという手応えをつかめたので、あと半歩だと感じた」(山縣亮太)
重圧もかかる五輪という大舞台で、しかも格上ばかりの選手とのレース。そこでしっかり自分の走りをして出した自己記録は、他の場所で出すのとは数十倍も違うほどの価値があるものだ。予選で10秒07を出して準決勝進出を果たしたロンドン五輪後は故障もあって低迷期も経験した。それを乗り越えて出した結果だけに、決勝進出を逃したが、山縣にとって、大きな手応えともなるものだった。