何とか就活を成功させても、社会人になれば新たな試練が待ち受ける。今年1月に「俺もキラキラネームだが、人生は暗いぞ」などと題した投稿が、はてな匿名ダイアリーに寄せられてネット上で話題になった。
この男性は「想像してみろよ。取引先に名刺を渡した時の『あっ……』っていう空気を。さらに『キミくらいの歳で、もうこういう名前なんだねぇ』と言われるその場を。俺はなんて答えればいい?『親からもらった名前です!』って胸をはれると思うか?」などと悲痛な思いを綴っている。
受難続きの人生から逃れるために改名したといい、この男性は「すげえ安堵した。涙が出るほど嬉しかった。胸を張って自分の名前を言えるのがどんなに素晴らしいことか」と“普通の名前”の喜びを書き連ねている。
実際にキラキラネームを持つ人物に話を聞くことができた。「滝音」と書いて「たきおん」という名前を持つ30代の男性だ。
「僕の場合、名前でそこまで深刻に悩んだことはないし、不利益を被った記憶もないですね。初対面の人に毎回、名前の由来を説明するのが面倒だったり、病院や区役所など公共の場所でフルネームで呼ばれるのが恥ずかしいくらいです。妹も『美留季(みるき)』という名前ですが、普通に会社員をしていますし、兄妹みんな改名したいと思ったことはありません」
キラキラネームにネガティブなイメージがつきまとう一方、この男性のように普通の人生を歩んでいる人も少なくない。就活やビジネスも大事だが、人間にとって名前は長い人生を共にするもの。その人自身の生き方の問題であり、他人がとやかく言うべきではないのかもしれない。(ライター・別所たけし)