「りぼん」などの少女漫画雑誌を好み、特撮テレビドラマ「秘密戦隊ゴレンジャー」のモモレンジャーにあこがれるという、一風変わった少年だった。「ヒロイン願望とでもいうのでしょうか。学芸会でも、女子は華やかな服を着られるが、男子は地味。悔しい!と思っていた」と振り返る。
小中学校時代から漫画を描き始め、ブラスバンド部に所属していた高校時代は、先輩の送別会で披露しようと、練習せずに不良になってしまうヒロインが登場するアニメ「吹奏楽物語」を制作。だが、膨大なセル画を描き切れず、出だしのバイクが走るシーンでざせつした。後は人形劇で間に合わせたという。
関西学院大学入学後は漫画同好会に入り、特撮作品も作り始めた。これまでに手掛けたアニメや特撮作品は約50作に上るそうだ。
なぜ少女漫画と特撮なのか。それについては、「少女漫画のヒロインと特撮の悪役の視点は共通している」という独自の見解がある。「少女漫画では、ヒロインが好きな男の子にアタックしようとして取り巻きにじゃまされる。特撮では、悪役が地球を手に入れようとしてヒーローにじゃまされる。独占したいと思う対象が男性から地球に変わるだけ。物語は敵役から生まれる」と述べる。
その思考回路は独特だ。これまでに5回ほど寸借詐欺に遭っているが、詐欺と分かっていながらお金を渡す。「どうやって人をうまくだますのか勉強したい」からだ。毎回、ネタが「遠方からやってきて食べるものがない」と同じなことに憤る。「地球の通貨を持っていない、とかカネゴンのコスプレをして話しかけてきたら喜んでお金をあげますよ。役者として演技をみせてほしい」と話す。自ら「寸借詐欺ではない」というのは“NGワード”だそうだ。