


ひとり焼き肉、ひとりカラオケ……ブームに乗って、さまざまな場所で市民権を得てきた「おひとりさま」。ついにあの場所にも、“おひとりさま専用”が登場した。
「おひとりさま」の醍醐味は、本来は大勢で楽しむ場所を、ひとりで満喫するという点だ。今回記者が訪れたのは、ビアガーデン。おひとりさまのイメージはまったくない。ひとりでビアガーデンを楽しめるというヒルトン東京(東京都新宿区)に潜入した。
ビアガーデンがあるのは、ヒルトン東京7階にある屋外スペースである。白いテーブルと椅子のセットがずらりと並び、いかにもビアガーデンらしい。すぐそばには新宿中央公園のこんもりとした緑、その奥には高層ビルが立ち並ぶ。涼しい風も吹きぬける、実に気持ちがいい立地だ。
気になるおひとりさま席は、テーブル席を抜けた先にあり、屋外スペースの先端部分にある。横長のテーブルが外向きに設置され、他のテーブル席に背を向けるかたちで、5席分が用意してある。その雰囲気はさながら、屋外のバーといったところ。お互いが向き合うテーブル席とは違い、景色を完全に独り占めできる。
座ってみると、都会の絶景を一望できる景色は素晴らしい。だが背中を向けているとはいえ、大勢が楽しんでいるビアガーデンでひとりというのは、なかなかハードルが高いのでは……。そんな不安もよぎったが、すぐに杞憂だったことを知る。
ヒルトン東京のビアガーデンは90分飲み放題のセルフサービスとなっている。入り口付近の提供ブースで食べ物や飲み物をオーダーし、自分で席まで持ってくるシステムだ。とりあえず、記者もビールをオーダーして、景色を眺めながら飲むことに。
記者が訪れた18時頃は、まだ日も高く、明るい。人目が気になるのではと思ったが、さすがにこの時間はまだ客の入りが少なかった。外国人ビジネスマンが数人、テーブル席を囲むのみで、意外に疎外感を感じない。
だが、気になるのはピークタイムだ。人が大勢やってくる時間帯こそ、おひとりさまにとってひとつのヤマ場なのだ。日が暮れはじめる19時半頃、そのタイミングはやってきた。複数の団体客が、テーブル席に案内され始める。記者のいるおひとりさま席の割と近くにも、2人の男性客の姿が……。