アベノミクスの成否を問う今回の総選挙。結果は自民党の圧勝だったが、選挙特番はそれをどう伝えたのだろうか。
注目はテレビ東京の「池上彰の総選挙ライブ」(12月14日19時50分~24時)。ジャーナリストの池上彰氏が各党の幹部クラスに鋭い質問を浴びせ、タブーに斬り込んでいく姿勢は他局にはなく、これまでも高い評価を得ている。今年はどうだったのか。
番組はまず、投票が締め切られた20時に、出口調査から各党の当選者数を割り出した。その時点の予測では、自民党は303議席(実際は291)、民主党は69議席(同73)と、自民圧勝の予測をした。その直後、自民党・茂木敏充選対委員長と中継をつなぎ、早くも池上節が全開になった。
「東京1区で有名閣僚などが続々と応援に来て、(民主党代表の)海江田さんをつぶそうという戦術が見えたんですけど、なかなかえげつない戦い方するもんなんですねえ」
民主党・福山哲郎政調会長には、「民主党、前回はあまりにも負けすぎた。今回もあまり増えそうもないですね」と、容赦なくその不甲斐なさを指摘する。「急な選挙だったので」との返答には、「野党はいつでも政権を狙えるよう準備すべきでは」。
政治家としての資質を問うたのは、民主党の鈴木貴子氏に対して。横にはなぜか父・鈴木宗男氏(新党大地代表)の姿があった。
「一人前の政治家として親離れしていないのでは」とまずは、誰もが感じるところに切り込む。さらに、貴子氏への質問に対し、宗男氏が答えるや、「本当に父親譲り。本人が答えるところ、またお父さんが答えた」と容赦しなかった。
同じように、次世代の党・平沼赳夫党首にも遠慮がない。石原慎太郎氏について、引退する人を候補者にするのは国民に失礼ではないかとの問いに、平沼氏はこう気色ばむ。
「だから(比例の)最下位にしたんだ。失礼ではない。男の美学だ」
これに対し池上氏はこう疑問を呈した。