在日東京ブラジル総領事館
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黄熱予防接種を受けると証明書「イエローカード」がもらえる
黄熱予防接種を受けると証明書「イエローカード」がもらえる

 来月12日に開幕を控えたワールドカップ。開催地ブラジルでは、スタジアム完成の遅れやワールドカップ反対デモなど混乱が続いているが現地に駆けつけて応援する予定の日本人サポーターも多いだろう。そろそろブラジルに渡るための準備をする時期だ。サッカーライターの竹田聡一郎さんは、渡航に必要な手続きには予想以上に時間がかかるため、早めの渡航準備をすすめている。

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 ブラジルの国土は世界第5位の約850万平方キロメートル。これは日本の約22.5倍に当たるという。人口は約2億人でこれも世界第5位。首都はブラジリアで通貨はレアル。1レアルは約46円(2014年5月22日現在)。

 そしてブラジルと言えばやはりアマゾン川で、諸説あるが長さは約6300キロという世界第2位の長さ、そして650万平方キロメートルという世界一の流域面積を誇る。川幅は最大のところで「東京―博多」とほぼ同距離と言われており、流れに浮かぶ島は九州サイズのものがいくつもある。ワニもサメもイルカも毒グモも軍隊アリもいて、今でも新種が時々みつかっている地域なのだ。

 とまあ、とんでもなくでっかいブラジルだが、遠くもある。お笑いコンビサバンナの八木が「ブラジルのみなさーん」とやっているとおり、地球の裏側だ。まっすぐ飛んでも約1万7000キロもあるらしく、飛行機で行く場合は、欧州でも豪州でも北米でも中東経由でもなんでもそんなに変わらないらしい。時差はちょうど12時間。

 僕はデルタ航空、アトランタ経由でリオに向かうのだが、アトランタまで13時間。トランジットに7時間。アトランタから9時間、ドア・トゥ・ドアで合計36時間という長旅を強いられる。

 また、その距離に負けず劣らずはてしなく感じるのが渡航準備だ。

 まず、ビザがいる。これは書類を揃えて領事館で申請するのだが、同時に領事館にパスポートを預け、発行まで中3日~5日かかる。ついでに、領事館に行く人は即日発行できるブラジルのCPF(納税者番号)を取得しておくと便利かもしれない。ブラジル国内でSIMカードを購入する際や交通機関の事前予約で、これがあると格段に話が早いようだ。

 さらにアメリカ国内の空港で乗り換えてブラジルに向かう人は、トランジットのみでもESTA(電子渡航認証システム)の申請が必要だ。

 そして厄介なのが黄熱病の予防接種だ。義務ではないが、ブラジルはWHO(世界保健機関)の黄熱予防接種の推奨地域にほぼ全域が指定されている。黄熱病は蚊を媒介とした感染症で、発症すると死に至ることもある。ワールドカップ日本代表23人を発表した記者会見でも、マスコミ用に黄熱予防接種に関する「周知のお願い」という書類が厚生労働省の名前で配られていた。

 予防接種は全国26カ所の機関で受けることができるが、完全予約制の機関がほとんどで、連日予約でいっぱいだという。僕は江東区の東京検疫所で受けたが、毎日200人近い予約があって、ゴールデンウィーク前に電話した時点で5月13日にやっと空きがある、とのことだった。

 ちなみにこの黄熱予防接種を受けると証明書がもらえる。そしてその名は「イエローカード」。サッカーを観にゆくのにそんなものもらっていいのだろうか、と思わないでもないが、これがあるとブラジルから第三国への入国時や、日本への帰国時に、検疫所でにらまれなくて済むらしい。

 ということで、もういくつ寝るとワールドカップ。ビザ、予防接種など「6月からでいいや」とのん気に構えていると痛い目に遭うかもしれません。万全に備えておいて王国での祭典を存分に楽しもうではありませんか。