河井克行前法相と妻の河井案里参院議員が政治生命の危機を迎えている。
昨年7月の参院選に絡み、公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕された案里氏の秘書ら3人の勾留満期となる3月24日、広島地検は秘書らを起訴する方針だ。その上で案里氏に対しては当選無効とする連座制適用に向け、迅速審理を求める「100日裁判」を広島地裁に申し立てる方針なのだ。
秘書3人が逮捕されたのは、車上運動員(ウグイス嬢)に法定の2倍、日当3万円を支払っていた運動員買収の容疑だ。
逮捕された立道浩容疑者は参院選後に案里氏の公設秘書となり、選挙運動中は現場のまとめ役であった。選挙後、公設秘書となり運動員への報酬支払も担当していた。
一方、克行氏の政策秘書、高谷真介容疑者は、日当3万円の「河井ルール」でいいか、克行氏から了解をとり、昨年5月22日に現場に伝えた。脇雄吾容疑者は、選対の事務長として選挙を取り仕切った。昨年6月11日に日当3万円の最終確認をウグイス嬢に伝えている。
つまり、本誌が報じてきた「河井ルール」を実践してきたのである。立道容疑者は、克行氏の秘書であった時代、「あまりに克行氏が理不尽なことをすると、突然逃げ出し、秘書をやめた」(克行氏陣営の元スタッフ)という。
そんなこともあり、任意段階から広島地検の捜査には協力的だった。高谷容疑者と脇容疑者は、そうではなかったという。だが、捜査関係者はこう話す。
「3人の関係でいえば、克行氏が実質的に選挙を仕切っており、政策秘書の高谷容疑者が他の2人より一段上という立場。克行氏の意向を現場に伝え、やらせるような立場だ。高谷容疑者だけは、どうしても克行氏を守りたいのか、なかなか調べに対し、認めない状況が続いた。かなり克行氏や弁護士からきつく言われたのではないか。だが、今は河井ルールについてはおおむね認めている」
河井夫妻の「口止め工作」は執拗だったと元スタッフはこう振り返る。