「一般労働者の労災の際も個人情報開示請求をすることがあり、誰が何を言ったかという部分はマスキングされますが、どういう理由で認定したかという理由の過程や大枠のストーリーは出てくるものです。このような大部分のマスキングは、ご遺族の知りたいという気持ちに反するような開示の仕方です」

 赤木さんの死はニュースで知った生越弁護士。数多くの過労自殺事件を手掛けているが、今回の訴状を書きながら、改ざんの強要というパワーハラスメント、長時間労働、連続勤務、職場の支援のなさ、休職中のケアの不足など過労自殺の悪いところが全部詰まった事件だとやるせない気持ちになった。

「彼の手記の中に、『抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るかずっと考えてきた。しかし事実を公的な場所で説明することができない。今の健康状態ではこの方法を取るしかない』ということが書かれています。訴訟は彼の遺志でもあると思いました」

 訴訟の目的は、赤木さんの自死の原因と経緯を明らかにすること、行政上層部の忖度(そんたく)と保身に基づいた判断で末端の現場の職員が自死に追い込まれるようなことが二度と起こらないようにすること、そして改ざんの経緯を公的な場で説明するという赤木さんの遺志を継ぐこと、だ。(編集部・小柳暁子)

※記事の続きは「AERA 2020年4月6日号」でご覧いただけます

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