一方、前出のプロデューサーが“大穴”として挙げるのが「SUITS/スーツ2」(フジテレビ、13日スタート)と「ハケンの品格」(日本テレビ、15日スタート)だ。
「織田裕二主演の『SUIT』は、鈴木保奈美との『東京ラブストーリー』以来27年ぶりの共演が話題となったドラマですが、そもそもリメイク元である海外ドラマがとても面白いので、しっかり客がついている印象。今回も安定して面白いはずですし、やはりこの座組みはフジテレビじゃないと成立しない。同局は昨今、全体的に視聴率で苦戦しているイメージですが、トレンディドラマの黄金期を背負ったこの2人の共演作で、ぜひ前作超えを目指してほしい」
■13年後の派遣社員どう描くか
またドラマ制作関係者のなかで実は最も期待されているのが「ハケンの品格」だ。
「前作は2007年のオンエアで、当時はまだ地味なイメージだった篠原涼子と大泉洋というキャスティングでしたが、スーパー派遣社員と嫌味なサラリーマンによる丁々発止なやりとりがとても面白く、最終回はまさかの視聴率26%を記録。篠原さんと大泉さんは、この作品を契機に役者としての格がひとつ上がる結果となった。サラリーマン社会のいびつな構造を派遣社員の目線で描くという、ある意味革命的なドラマだったのですが、今回も働き方改革やパワハラをしっかり描いていくと思います。ただ、まさのコロナショックでテレワークなどが当たり前となってしまったので、そこをどう描いていくのかというのが課題でしょう。そのリアリティをうまく表現できれば、視聴率30%超えもあると思いますよ」(前出のプロデューサー)
長いテレビドラマの歴史の中でも、ここまで続編が重なったクールは珍しい。TVウオッチャーの中村裕一氏は、続編ものがひしめきあう4月クールをどう見ているのか。
「続編ものは安易な考えだと思われがちですが、1作目より2作目のほうが視聴者のハードルが高くなります。そこにあえて飛び込んで勝負するスタッフ・キャストの心意気は立派です。『半沢直樹』は、組織の論理を振りかざす上司の理不尽な仕打ちに猛反撃するという、自粛ムードでフラストレーションの溜まっている視聴者がストレスを発散させるにはまさにうってつけのテーマ。対する『BG』はどうしても主演の木村拓哉ばかりが目立ちますが、根底にあるのは“護る”をテーマにした骨太の人間ドラマ。これもまたこのご時世にはぴったりの作品と言えます。意外なところでは松岡昌宏主演の『家政婦のミタゾノ』もシーズン4に突入。シリーズものとして根強い人気がうかがえます」
コロナ感染拡大の影響でTBSは「半沢直樹」の放送開始延期を発表したが、他のドラマも予定通り放送されるかに注目が集まっている。コロナ自粛で在宅人口が増えているなか、視聴率にどう影響を与えるのか。続編ドラマの前作が現在、動画配信サービスなどでも簡単に見ることができるようになった今、“最強の続編ドラマ”を片っ端から楽しむのも一興だ。(藤原三星)