朝日新聞が問題を報じると、財務省は籠池前理事長の了承を得たとして、売却価格を一転して公表し、土地の鑑定価格約9億円からごみの撤去費として約8億円を差し引いたことを明らかにした。疑問は本当に8億円分のごみが埋まっているのかどうか。すでに国の費用で約1億3千万円をかけ、コンクリートの廃材などを撤去していたことも判明した。近畿財務局は問題が大きくなると、「財務省本省に問い合わせを」と取材を拒否するようになった。

 大阪社会部の同僚記者らの粘り強い取材で、厳しい財務状況や教職員の不十分な態勢といった森友学園についての疑問点も次々とあぶり出した。また、国などへの補助金申請に絡み、虚偽の建築費を届け出た可能性があることも突き止めた。籠池前理事長は小学校の建設を断念し、用地は特約に従って国に買い戻された。

 その後、籠池前理事長は国の補助金を詐取したなどとして妻とともに大阪地検特捜部に逮捕、起訴された。夫妻は当初、安倍首相を熱烈に支持していたが、問題発覚後に首相が籠池前理事長を「非常にしつこい」などと突き放すようになると、政権批判に転じた。

 裁判でも「国策捜査だ」などと特捜部を批判したが、大阪地裁は今年2月、籠池前理事長に懲役5年、妻に一部の起訴内容を無罪としたうえで懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡した。夫妻と大阪地検の双方が控訴し、法廷闘争は当面続く。

 一方、判決に先立つ18年3月、朝日新聞の報道により、財務省が森友学園との国有地取引の際に作成した公文書を改ざんしていたことがわかった。国有地取引をめぐっては、籠池夫妻と昭恵氏が国有地の前で撮影した写真を籠池前理事長が近畿財務局に提示し、「いい土地ですから前にすすめてください」と昭恵氏から言われた、と伝えていたことが改ざん前の公文書などで明らかになった。

 籠池前理事長は昨年2月、朝日新聞の取材に「写真はとどめ。財務省のギアがひとつ変わったんじゃないですか。ガッと」と証言した。

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