「時差通勤」を始めた広島。マスクをつけて練習に加わるコーチも(C)朝日新聞社
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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、プロ野球は公式戦開幕の見通しが立たない状況が続いている。当初は3月20日に開幕予定だったが、感染が収束しないため1カ月以上延期して4月24日を目指すことに。しかし、そのプランも崩れた。4月3日の12球団代表者会議で、開幕戦を24日からさらに延期することを決定した。開幕日は4月下旬~5月上旬をめどに決める方針とした。

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 各球団は感染予防のため、当面は自主練習期間にするほか、寮に住んでいる選手と自宅から通う選手で練習時間をずらすなどの工夫をするが、日常生活で感染するリスクがゼロとは言えない。ある選手は不安を吐露する。

「こういった状況が初めてなので不安しかない。選手たちの間でも、今年は開幕できないのでは?と話題になっています。もし、リーグ戦が始まっても感染者が1人出たら、他の選手たちは濃厚接触者になるので試合ができないと思う。1軍の選手だけでも12球団で計300人以上いるので、感染者がゼロのままシーズンを終えるとは思えない。感染者が出た場合はシーズンが中断する可能性も十分にあり得ます。今年は試合数が大幅に減って給料も減ることを覚悟しています」

 開幕日が遅れれば遅れるほど、日程はタイトになる。もし、開幕が5月上旬以降になった場合はオールスター戦、クライマックスシリーズの開催は困難な状況になる。

 また、選手たちが懸念するように、シーズン途中で感染者が出た場合はどうするのか。練習、試合でコミュニケーションを取るために近い距離での会話は避けられない。感染者と濃厚接触した選手、首脳陣、チームスタッフは2週間隔離しなければいけないので、試合で戦える状況ではなくなり、シーズンが中断となるリスクも十分に考えられる。試合数が大幅に減った場合は個人タイトルを認めるかについても議論になるだろう。

 球団の経営にも大きな影響を及ぼす中、サッカーJリーグではコンサドーレ札幌が全28選手から4~9月(6カ月分)の報酬の一部返納の申し入れがあったことを公表した。総額約1億円に上る。プロスポーツで選手側による報酬の返上は史上初めてだという。この試練をどう乗り越えるか。スポーツ界も他の業種と同様に先の見えない闘いで、不安な日々が続きそうだ。(牧忠則)

週刊朝日  2020年4月24日号