安倍官邸はこれまで首相のために頑張った官僚を人事で処遇することで、権力を掌握してきたとされる。

「黒川氏もその論功行賞で検事総長にしたかったんじゃないか。だが、そのパターンを強行しようとして、大失敗したということ。最高裁判所の判事とか、公取の委員長とか黒川氏にふさわしいポストはいくらでもあった。だが、安倍官邸が検察を抑えたいという下心があり、強引に閣議決定したことで、墓穴を掘る結果となった。安倍首相もすっかり弱気になって、周囲には『もともと菅さんが連れてきたんじゃないのか。俺ばかり批判されて…』などと愚痴っているそうだ」(前出の自民党幹部)

 今国会で先送りされた検察庁法改正案を含む国家公務員法改正も廃案に追い込まれる可能性が高い。

「安倍首相の周囲ではすき間風が吹いていますよ。わずかに、来年の東京五輪が希望ですが、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長が新型コロナウイルスの感染状況を10月時点で見極め、中止もありうると言っている。日本は大丈夫でも、冬になる南米、オーストラリアなどの状況いかんでは、中止になるかもしれません。そうなると、もう安倍首相もモチベーションが保てないんじゃないか?」(同前)

 安倍政権の落日は確実に迫っているようだ。
(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事