連載開始25周年を迎える林真理子さんの「マリコのゲストコレクション」。歴代の女性ゲストの話から、「生き方を考える言葉」を選りすぐり、振り返ります。今回は故ジョン・レノンさんの妻であり、アーティストのオノ・ヨーコさん(1995年12月1日号)。「ジョンとヨーコ」として音楽活動をするほか、「ベッド・イン」などの平和活動でも注目を集めました。「想像していたよりも、ずっと物静かだった」というオノさんを前に、マリコさんも聞きたいことがありすぎて──。
林:聞いた話ですけど、オノさん、人の心を読めるって、本当ですか?
オノ:だれでもそうじゃないの?
林:初対面の人が、自分にどの程度の好意持っているって、わかります?
オノ:インタビューされていて、ときどき全然言葉が出てこなくなって、どうしたんだろうと思うじゃない? そしたら、その人は私のことをよく思っていなかったということが、あとでわかるわけ。
林:ずいぶんバッシングされたそうですが、私の年代ですと、オノさんといえば、押しも押されもせぬ有名な人としか知らないんです。
オノ:いつまでも「バッシング」なんて言わなきゃいいんだけど、インタビューする人はたいがい、「バッシングをどう思いますか?」と始めるから。その時代の人は、私に対してほんとにこう(こぶしを握りしめる)思ったんでしょうけど、あなたたちの世代は、夢のような話なんでしょうね。ありがたいと思ってます(笑)。
*中略* (以下、*)
林:きょう私、ジョン・レノン夫人じゃなくて、オノ・ヨーコさんにいろいろお聞きしてみたいんですけど。六〇年代からずうっと先端のことをなさってますけど、あの当時の女性が、突っ走るような、というと失礼ですけど……。
オノ:突っ走ったのよ(笑)。
林:そういう感覚を、どこで身につけられたのかなと思って。
オノ:運命かな。たまたま私がそこにいたということが運命だったのと同じように、突っ走るというのも、運命だったという以外にないですよね。