伊澤:今回の法改正で、公正証書があれば元配偶者の預貯金などの情報開示が可能になりました。従来なら財産開示に応じなかったり、保有資産の金額をごまかした回答をしたりしても30万円以下の「過料(行政罰)」で済んだのが、法改正後は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金という「刑事罰」の対象となりました。
前澤:残念ながら未婚で認知を受けていない場合は、法的にも養育費をもらう権利がない。そういう問題こそ、国や行政に取り組んでほしいですね。
──元パートナーの居場所がわからないというケースにはどう対応しますか。
伊澤:弁護士の職務上資格により住民票の開示請求が可能です。オンラインも駆使すると、現住所を判明させることは難しくない時代です。国内で生きていれば、居場所をつきとめられないことは、ほぼありません。
──かつて過払い金を巡る訴訟が法改正でガラッと変わったのと同様のことが、養育費でも起きる、と。
伊澤:「法律業界」ということで考えると、似たような波が起きる可能性はあります。「養育費ビジネス」というものが、趨勢(すうせい)を占めるかもしれません。
──若い経営者を育てることは、前澤さんの楽しみでもあるのでしょうか。
前澤:楽しいですね。僕は宇宙に行ってひと時日本を離れなくちゃならないし、社会の役に立ちたい人を応援したい。彼もその中の一人。たくさんの事業に投資して、たくさんの社長と一緒にやるつもりです。10人の起業家に10億円ずつ投資して、100億円規模のファンドにすることはすでに発表しています。前澤ファンドです。10億円投資するに値する起業家を探しています。ZOZOを10社作りたいのです。ZOZOは時価総額が一時1兆円を超えましたが、それでも日本で200番目ぐらいだった。トヨタ自動車やソフトバンクグループのように10兆円、20兆円規模の会社にならなければ、何の影響力もありません。
──でも、ZOZOを大きくするのではなく、別の会社を立ち上げる道を選んだ。
前澤:ZOZO時代によくわかったのは、僕は0を1にするほうが得意だということ。1を100にする作業には管理能力が問われますが、僕はどちらかというとやんちゃでいたい。だからそうした起業家にお金や知恵を貸すことが、自分に一番合っていると思っています。今のところですけど。
(構成/ジャーナリスト・大場宏明、編集部・中島晶子)
※AERA 2020年7月20日号より抜粋
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