
個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、主演ドラマ「浦安鉄筋家族」の撮影中断からクランクアップまで、困難を乗り越えた現場をふりかえります。
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ドラマ「浦安鉄筋家族」、大げさでなく夢にまで見たクランクアップを、先日迎えました。
あと2週間弱でクランクアップを迎えられるという時、新型コロナの影響で撮影が中断しました。放送は予定通り始まりましたが、全12話のうち、既に撮影済みだった第6話までを放送したところで、ついにストックも切れ、放送も中断。それまでに撮影が再開されれば何とか滞りなく放送できるという淡い願いは打ち砕かれました。
先の見えない状況の中、今だから言いますが正直、弱気になっていた僕は半ば諦めていました。「浦安鉄筋家族は6話までで終了するんだろうなあ」。
そんな矢先、さらに前代未聞の出来事が起こりました。撮影に使っていた一軒家が取り壊されたのです。
もともと、取り壊し予定の一軒家をお借りして撮影をしていました。そして新型コロナによる中断がなければ、取り壊し前にすべてを撮り終えるはずでした。撮影の予定は大幅に狂いましたが、家は予定通り取り壊されたという訳です。
さあ困りました。仮に撮影が再開されたとしても、撮影する家がありません。どこか他の家を見つけたとしても、7話から12話の部分部分のシーンはすでに取り壊された家で撮影済みなので、たとえば「7話では朝と夜で家が違う」なんてことになってしまいます。
ただでさえ弱気になっていた僕は、いよいよお先真っ暗になりました。しかしこの時に救われたのは、6話までご覧頂いていた方々や原作ファンの方々の、あっけらかんとした反応です。
「浦安鉄筋家族なら、それもアリなんじゃないか」「原作にも晴郎が太りすぎて家が壊れるエピソードがあるから大丈夫」「一連の流れに笑いしか起こらない」…エトセトラ、エトセトラ。