米軍基地で新型コロナウイルスの感染が拡大。米軍関係者はPCR検査なしで基地に自由に出入りできるという。ジャーナリストの田原総一朗氏は、占領政策の延長のような現在の日米地位協定の改定を訴える。
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沖縄県内の米軍基地で、新型コロナウイルスの感染が広がっていることをテレビのニュースで知った。
感染者数は100人を超えているようだ。7月15日付の毎日新聞によると、「宜野湾市の米軍普天間飛行場では71人、金武町などにあるキャンプ・ハンセンでは22人の感染者が出た。今月4日の米独立記念日やその前後に、基地内外ではパーティーが開かれていた」ということだ。
米国は感染者数、死者数ともに世界最多である。トランプ大統領が経済を重視して、新型コロナウイルス対策を怠ったことが要因だ。
米国の感染者数、死者数があまりにも多いので、日本政府は米国からの入国を拒否し続けている。
私は当然、米軍関係者の場合もこの体制が取られ、やむを得ない事情がある場合でも、入国に際しては厳しいチェック、たとえばPCR検査などは行われているものだと捉えていた。だが、何と日米地位協定によって、米軍関係者は、PCR検査を受けることなく、自由に基地に出入りしているのだという。
これでは、米軍基地で新型コロナウイルスの感染が広がるのは当たり前である。
毎日新聞によれば、「日米両政府は、米軍の医療機関や地元の保健所が感染症の発生を確認した場合、相互に通報し情報を共有することに合意」していて、「米軍は県に対し、感染者数は伝えている。だが、居住地や直近の行動履歴など感染拡大を防ぐために必要な情報は十分に提供していない。どのような情報を、どのように提供するかは米軍側に委ねられている」という。
ところが、在韓米軍の場合は、韓国に入る際にすべてPCR検査を行うことになっているのである。在韓米軍と在日米軍とで、なぜこれほど差異があるのか。
それにしても、日米地位協定とはいわば、占領政策の延長なのである。東京の上空も、沖縄の上空も、いまだに米軍に占領されている。そして、日米地位協定の犠牲になっているのは沖縄である。