そんな呪いを解くのが家政夫のおじさんだ。欲しいのは彼氏じゃない、夫でもない。疲れ果て家に帰って来たら、部屋はきれいに整頓され、洗濯物はたたまれ、おいしいご飯が出来上がっている。夢だ、夢です。
さらにおじさんは彼女に告げる。「メイさん、あなたは本当に頑張っています。一人で全部を頑張らなくてもいいと思います」
これぞ今どきの女子が一番欲しい言葉じゃないか。家事をすべてやってくれて、執事のようにジェントルで、お母さんのように優しいおじさん。ま、この世にいるわけないですね。
でもなぜおじさんなのか。家政婦のおばさんではダメだったのか。そうね、疲れ果て家に帰って来たら、「見た!」(市原悦子)、「ミタ」(松嶋菜々子)、「ミタゾノ(おばさん?)」(松岡昌宏)がドアの陰からのぞいている。そんなシチュエーションを想像したらとても心が休まらなかったので、どうかおじさんでお願いします。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2020年8月7日号