7月22日から政府のGoToトラベルキャンペーンが始まった。東京居住者や若者、高齢者の団体は対象外とされているが、23日の東京駅には旅行客の姿も目立った (c)朝日新聞社
7月22日から政府のGoToトラベルキャンペーンが始まった。東京居住者や若者、高齢者の団体は対象外とされているが、23日の東京駅には旅行客の姿も目立った (c)朝日新聞社
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AERA 2020年8月3日号より
AERA 2020年8月3日号より

 感染が急拡大するなか、239人の専門家が空気感染の可能性を発表した。呼吸だけで感染が広まるとしたら、どんな予防策を取ればいいのか。AERA 2020年8月3日号から。

【新型コロナウイルスの感染経路はこちら】

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 世界で連日20万人以上、新型コロナウイルスの新規感染者が増えている。国内でも7月23日には東京で366人、全国で981人と、増加が止まらない。

 感染拡大の一因に、空気感染の可能性がある。7月上旬、日本など世界の感染症や環境工学などの専門家239人が、空気感染する可能性は高く、対策が必要だと注意喚起する見解を米感染症学会の学術誌に発表した。

 空気感染の根拠のひとつに挙げられたのが、中国・広州市のレストランで起きた集団感染だ。春節(旧正月)前日の1月24日、レストランの一番奥にあるテーブル3台でそれぞれ別個に食事をしていた、面識のない3家族のうち10人が感染した。

 18台あったテーブルのうち感染者が出たのは3台だけだ。3台の中央で食事をしていた10人は、その前日、新型コロナウイルスの流行で封鎖された武漢市からやってきた家族だった。

 地元の疾病対策センターなどが監視カメラの映像を分析した。武漢市の家族と両隣のテーブルの家族は、店内滞在時間が50分以上重なっていたものの、背中合わせに座っていただけで、直接の接触も接触感染の可能性もなかった。

 しかし、現場の再現実験により、3テーブルは共通のエアコンの気流の下にあり、換気されないまま、同じ空気がエアコンを介して循環していたことがわかった。調査チームは、唾液などの飛沫による感染だけではなく、空気感染も起きていた可能性があるとした。

 世界保健機関(WHO)は7月9日、239人の専門家の見解を受け、「人の密集した換気の悪い空間で、空気感染が起きた可能性は否定できない」とした。

 WHOのコメントについて、押谷仁・東北大学教授(ウイルス学)は、「誤解が生じやすいので注意が必要」と指摘する。

「空気感染と言っているが、麻疹(はしか)や結核で起きる空気感染と、新型コロナウイルスの感染はぜんぜん違う」

 麻疹や結核では、感染者と同じ部屋の離れた場所にいる人や、感染者が退室した後に入ってきた人にも感染することがある。しかし、新型コロナウイルスでは、一部例外的な状況で起きたものを除けば、そういった感染は起きていないと考えられる。

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