新型コロナにより、3カ月遅れていたTBSの日曜劇場「半沢直樹」が、満を持して7月19日にスタートした。初回放送は、世帯平均視聴率が22.0%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)で、好調な滑り出しだ。
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2013年の前作は、平成ドラマ視聴率1位(最終回42.2%)を記録。堺雅人演じるバンカー、半沢の決めゼリフ「倍返し」は新語・流行語大賞年間大賞に選ばれ、社会現象を巻き起こした。さて、今作はそれを超えるのだろうか。
ドラマ評論家の吉田潮さんは「待ったかいがあった」と続編に期待を寄せる。
「初回の視聴率が15%を超えれば“御の字”。13年以降、日曜劇場における池井戸潤作品は似通った描き方で、もうおなかがいっぱいという気分だった。そこに『半沢直樹』が帰ってきた。フレーズが安定し、物語は飽きさせない作り。何よりも、役を完璧(かんぺき)にこなす堺雅人をずっと待っていた」
堺は、前作以降の地上波でのドラマが「リーガルハイ」(フジテレビ)、「Dr.倫太郎」(日本テレビ)、「真田丸」(NHK)とあるものの、それほど多く出ていなかった。さらに、7年ぶりの「半沢直樹」に合わせるかのように、サントリーやソフトバンク、マクドナルドのCMにも立て続けに登場した。
「うまい戦略。7年も待たせてから、ドラマだけでなくCMでも一気に露出させてくるところが秀逸」(吉田さん)
一方で、上戸彩が演じる半沢の妻の描かれ方に、吉田さんは懸念を抱く。
「前作は夫が仕事で理不尽な扱いを受けて帰ってきたのを、妻が雑穀米に野菜の小鉢をいくつも並べ、完璧に出迎えていた。7年も経つと、ささいな点でも違和感を抱く。女性目線でアップデートできるかが、視聴率に限らず、質にも関わってくると思う」
ドラマ評論家の成馬零一さんは、昨今の世相を映し出している点に注目する。
「第1話では、メールを削除して証拠隠滅を図る場面がある。実社会でも、昨年、『桜を見る会』などをめぐり文書管理が重要な論点となった。直接的ではないけれども、誰もがふつふつと抱いていた政治に対するフラストレーションを物語に映し出しているようにも見える」