弘兼:島耕作ならば女性ですか(笑)。

櫻田:はい(笑)。その何かわからないものが困った時に助けてくれるのではなくて、弘兼先生流に言うと「見える」ということですよね。見えないという人にも実は来ているんです。救いの手が。来ているのにつかまず、流している。

 昔から知っている夫婦2人で経営されている居酒屋で食事をしたんですが、客は私だけでした。「続けたほうがいいですかね」と聞かれて、私は根拠はないのですが「あと2年ぐらいは続けたほうがいい」と言ったんです。辞めたら終わり、借金が残るだけですから。「保証はないけれど、もしかしたらやっていてよかったという時がくるから」と言ったんです。そうしたら「ありがとうございます」と。

弘兼:その人はその言葉がほしかったのかな。

櫻田:誰かを頼りたいというのは皆言えないんですよね。だから「続けたら」とか言ってあげると力になるのは間違いない。

桜井:私は、率直に言うと、経営者一家の生活が破綻したらそっちのほうが不幸でしょ。だからその前に閉める。それで新たにやりかえる。難しいことを考えなくていいんです。

弘兼:桜井さんは多分、損切りを早くやるタイプ。もう少し続けるというより、撤退が早いですよね。

桜井:うちの父は昨日と今日を変えないタイプだったんです。前年比95%ぐらいでずっとやっていたんです。中小企業の経営者にとって前年比95%って結構気楽でいいんですよ。それにあわせて経費を削っていく。130%とか140%で伸ばそうとするより、企業としてはよほど安全率が高いんです。でもそれでいいのかなって。

弘兼:それじゃあジリ貧で終わりますからね。

桜井:だからそうじゃないところに入っていかなきゃいけない。現実、父の時は10年間落ち続けたわけです。そういう現実は来ちゃう。だから決断は早くしなくちゃいけない。

弘兼 それはオーナー社長の強みでもありますよね。サラリーマン社長なら株主とかのことも考えて大きな勝負はできない。

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