結局、興津さんが夫の祖母の土地の存在を知ってから、土地を義父の単独名義にするまでに約2年を要した。
「夫には弟がいますが、こちらも子どもがいません。興津家の後継者はいないのですが、義両親が他にもまだ何かを隠している可能性があります。義両親が元気なうちに、私たちでできるだけきれいにしておきたいと考えています」
興津さん夫婦は、甥やその子どもたちに維持・管理の手間や苦労をかけたくないことから、後継者の必要がない「永代供養墓」に入ろうと話し合っている。
生前整理をしなくても罪に問われることはないが、怠ると死後に親族に迷惑や負担をかける可能性が高い。やるかやらないかはその人の良心に委ねられるわけだが、“立つ鳥跡を濁さず”と言うように、去る者はきれいに始末をしていくべきではないだろうか。引き際は美しくありたいと願う。(取材・文/旦木瑞穂)