当局発表の死亡者数は信じるに足らない。ここ数日、ネット上では多くの病人が手遅れとなり感染の診断もされないまま死んでいるという報告が見られることからも、実際とは懸け離れた数字であると分かる。
ロックダウン初日の震えるほどの驚き、それに続くパニック、さらに14日間の経過。理論上は14日間の隔離期間に発熱・咳の症状がなく、幸運にもウイルスの攻撃をかわしたわけだけれども、私はいささかもうれしくなかった。家にこもって2週間、腰や背中が痛んだ。体はすっきりせず、健康には絶対の自信を持てなかった。
この時点で自分がどれほど先まで生きられるのか確信をもって言える武漢人は一人もいなかっただろうと私は思う。焦りを覚えながら、私はやっとのことで健康回復を自分に命じた。
○阿坡(A.PO)/一武漢市民。77日間の武漢都市封鎖(ロックダウン)を経験し、この手記を執筆。「阿坡」は本名ではない。全世界に多大な迷惑と災難をもたらした新型コロナウイルスについて、一人の健全な精神を持つ中国人としてお詫びの気持ちを表すために、英語の「apologize(お詫びする)」から取った。全世界の国々が中国からのお詫びを待ったとしても、それが述べられることはない。だか、この名前を用いて手記でお詫びの気持ちを表したいと考えている。
訳:kukui books
※AERAオンライン限定記事