

危機に直面するたびに、そこから何かを学んできたという。俳優・モデル・声優など、多岐にわたって活躍する竜星涼さんが、コロナ禍の中で迎えた新たな転機とは──?
前編[竜星涼 矢沢永吉の『成りあがり』から始まった4つの転機]より続く
今年の1月、約1カ月間にわたり、長野の上田に滞在した。映画「リスタートはただいまのあとで」の撮影のためだった。
「さすがに1カ月滞在したら、けっこう地元の人たちと仲良くなりまして(笑)。そんなときも、僕と地元の人たちをつないでくれたのが矢沢(永吉)さんでした。僕が矢沢さんファンだとわかると、母よりも年上の人たちが、みんな一緒にカラオケで盛り上がってくれたんです」
長身小顔で都会的な雰囲気の、ザ・モデルといった風貌ながら、インタビュー中も、言葉の端々に、人懐っこさや気さくさを覗かせる。映画でも、不思議と地方の農園の人間になりきって見えたほど。訛りも自然だが、農園でみかんを収穫する手つきも板についていた。
「今回の映画で僕が演じた大和という男は、都会の生活に疲れて田舎に戻ってきた古川雄輝さん演じる光臣を、ただありのままに受け入れていきます。やがて光臣も、自分を受け入れてくれる存在の大きさに気づいて、性別を超えて、2人は惹かれ合っていく。いわゆる“ボーイズ・ラブ”を扱った映画ですが、この台本に描かれているのは純愛なんです。人と人が惹かれ合う様子が台本に丁寧に描かれていた。僕がこの役を演じたいと思った理由はそこにあります」