林:趣里さんは何歳からバレエを始めたんですか。
趣里:4歳からです。友達から誘われて、母に「やる?」って言われて、「うーん……」と迷いながら始めたんですけど、誘ってくれた友達はやめちゃって、私はずっと続けたんです。
林:3、4歳でバレエを始めて、だいたいみんな3回ぐらい発表会に出ると気がすんじゃって、「もういっか」って感じになるんですよね(笑)。「くるみ割り人形」を踊ると、本人も気がすむし、うちの娘も「トーシューズを履くまではやりたい」と言って、履いたら気がすんでやめちゃいました。
趣里:私はたまたま入った教室がバレエ団直属の教室で、先輩たちの公演を見たり、ちっちゃくても子役で出られたので、どんどん憧れがふくらんでいったという感じでした。舞台に立って表現したものに対してリアクションしてもらえるのが、すごく幸せだったんだと思います。だから正直、ちょっと心残りはあります。
林:ケガさえしなかったら、という思いはあるでしょうね。
趣里:いま舞台で時々踊らせてもらったり、MV(ミュージックビデオ)などで「ダンスしてください」って言ってくださったりすると、「ああ、踊れる」と思ってうれしいです。
林:バレエをやってる人って、しぐさとか歩き方がきれいだし、背筋がスーッと伸びていて、女優さんとして大きな武器ですよね。
趣里:うれしいです。
林:趣里さんはロンドンにバレエ留学なさってたんですよね。行ったのは15歳ですか。
趣里:15、16歳のころです。中学を卒業して、ロンドンは9月入学なので、それまで、日本のインターナショナルスクールのようなところに行って英語を勉強してから行きました。それでも現地の校長のあいさつがわからなかったです。
林:向こうでは寄宿舎生活だったんですか。
趣里:そうです。一部屋4人で、お風呂もシャワーが10個ぐらい並んでるだけで、浴槽はありませんでした。バスタオルを体に巻いてシャワーまで行って、シャーッと洗って、またバスタオルを巻いて部屋に戻るみたいな感じでしたし、食事は食堂で取っていました。
林:イギリスの寄宿舎の食堂なんて、まずそうですね(笑)。
趣里:おいしくはなかったかもしれません(笑)。
林:よく耐えましたね。
趣里:最初はホームシックになりました。毎日電話してしまって、国際電話だから金額がすごいことになっちゃいました(笑)。でも、イギリスの子も家族に電話して廊下で号泣してたのを見て、ちょっと冷静になれました。私だけじゃないんだ、頑張ろうと思って、それでちょっと変わった気がします。それぐらいレッスンもハードでしたし、加えて午前中が学科で、数学などの授業を受けていました。