この発言以外でも、仕事と恋愛が精神面でリンクしていたことがうかがえる。例えば「セクシー」とは何かという質問に対する答え。恋愛観というよりは、人生観や仕事観が反映されているようだった。
「男のセクシーさは生き様に表れるもの)」(non・no 2014年3月号/23歳)
こうして迎えた20代後半。多忙を極めつつも、三浦さん自身が仕事に手ごたえを感じ始めた時期だ。日々努力と研究を重ねた結果、ミュージカル「キンキ―ブーツ」のドラァグクイーンなど役の幅が格段に広がっていった。当然、インタビューでは作品や役作りなどについての質問が多くなり、本人の答えも恋愛や結婚についての発言は減ってくる。あったとしても、恋愛を語るというよりは、人間関係という深いテーマにつなげて答えるようになっていた。
例えば、20代前半までは運命的な出会いを信じているところがあった。23歳のときには次のように話している。
「もし、運命的な女性に出会ったら、僕は迷わず行くんじゃないかな」(JUNON 2013年8月/23歳)
また、25歳のときには、ドラマ「わたしを離さないで」の内容に絡めて以下のように話した。
「“これが運命だったのか!”っていう出会いは、まだないですね。期待はしたいですが。そんな出来事があったら、きっと最高ですよね」
それが、29歳のときには、映画「アイネクライネナハトムジーク」に関するインタビューで次のように答えていた。
「劇的な出会いを求める気持ちは誰にでもあると思うんです。もちろん僕も例外じゃない。(中略)最近は“劇的”でない、日々の出会いの大切さを身に染みて感じています。(映画の)今泉(力哉)監督との出会いもそうです。ただ、僕は情熱があっても相手に自分の思いを説明して伝えるのが苦手。せっかく出会った相手でも、時間をかけないと気持ちを伝えられないこともあります。でも焦らずに時間をかけて話を聞いたり、この人はたぶんこういうことを言いたいんだろうなということを想像するようにしています」(婦人公論 2019年10月8日号/29歳)
結婚については「30歳までにはしたい」と言っていたのが、「今は考えていない」と明言するようになったものこのころだ。ただ、それは仕事が充実していたことの表れであり、役者としての自分に自信がつき、もっと上を目指したいという気持ちから出た言葉だったのかもしれない。
「もやもやした気持ちのまま仕事をしていた20代前半までに比べたら、だいぶ成長したと思います。(中略)苦手なことや弱点も自覚できるようになったので、それを克服する努力もできる。その一つ一つが仕事やプライベートの安定につながるから、これが大人になるっていうことなのかなと思いますね」(家の光 2019年2月号/28歳)
同じころ、好きな女性のタイプについては、いたずらっぽい笑顔を見せて、こんなことを言ったという。