自公政権が検討している税制改正案。中でも相続税の改正では祖父母が孫に教育資金を一括して贈与すれば、非課税になるという新たな仕組みを打ち出した。
日本中央会計事務所の代表である税理士の青木寿幸(としゆき)さんは、今回の報道で孫への贈与に注目が集まったのを機に、子から祖父母への「おねだり」を勧める。
「親戚が集まるような日を避けて、孫を連れておじいちゃんに会いに行ってはどうでしょう。おじいちゃんにしても、自分が『あげた』ことを認識してもらえたほうがうれしいですから。孫から『おじいちゃん、ありがとう』と言ってもらったほうが、お金を出しやすくなります。もともと教育費や生活費には、財布のひもが緩みやすいものですしね」
孫への生前贈与は、一括贈与の制度を使わなくても大きな節税効果がある。孫に無税で贈与できる対象は教育費だけではなく、医療費を含む生活費などかなり幅広く認められるからだ。
教育費は大学の学費や塾・予備校などの費用だけではなく、留学費用やスポーツ・音楽のレッスン代、下宿代や自動車教習所の費用なども無税で贈与できる。青木さんがこう語る。
「入学金も含めると1千万円もする私立大医学部の授業料も、実際に支払った額であれば認められます。最近は留学費用を出すケースが目立ちますね。勉強するための留学だけじゃなくて、欧州へのサッカー留学や、米国へのテニス留学なんかも増えています。これも1千万円ぐらいかかりますから、相続財産を大きく減らせて節税対策にもなります。海外からフィギュアスケートのコーチを呼んでくる費用なんかも認められるのです」
生活費では、孫の歯の矯正代やホクロをとるための保険外診療代、個室利用などで高額化している出産費用、衣料品や旅行代なども、扶養する者とされる者の関係を考慮し、社会通念上適当とされれば認められることになる。
※週刊朝日 2013年2月1日号