■JR再集結許されない

──収益拡大のため、経済規模が大きい東京・首都圏の事業を強化する考えはありませんか。

 東京でどんどん事業を拡大するということは考えていません。もちろん、競争が激しい首都圏で腕を磨いて、それを沿線で生かすことには大きな意味があり、それは今後も続けます。ただ、我々の沿線にはまだまだ潜在力があり、それを磨くことが第一だと考えています。

──NTTのドコモ完全子会社化で、「電電再結集」がささやかれています。JRはどうでしょうか。まず経営が厳しいJR四国を救済する経営統合は。

 それはないでしょう。もし救済が目的ということであれば、我々の株主総会で認められないと思います。例えばJR東日本はJR北海道を支援していますが、これもあくまで技術、人員面での支援ですよね。

──では東日本や東海を含めた大連合で経営基盤を強化するという可能性はどうでしょうか。

 それもないでしょう。そもそも国鉄の旅客部門が6社に分割されたのには、理由があったわけですから。それを覆して違う形にする理由は、30年経った現状においてもありません。それに今では役員クラスでも分割民営化後の入社の人が出てきていますから、各社が完全に独立した企業文化になっています。もちろん、災害時などはお互いに助け合いますが。

 そもそもJR再集結は経営基盤の強化になるでしょうか。また大きな塊に戻ることで、国鉄1社体制のような非効率を招くことは許されません。

(聞き手/編集部・上栗崇)

AERA 2020年10月26日号より抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
「集中できる環境」整っていますか?子どもの勉強、テレワークにも役立つ環境づくりのコツ