10月28日、衆議院の代表質問で日本学術会議の任命拒否問題が取り上げられ、菅義偉首相は次のように答えた。
「民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りがでないことも踏まえた多様性を念頭に、私が任命権者として判断を行ったものだ」(朝日新聞デジタル 2020年10月28日)
ここでいう「偏り」とは何をさしているのだろうか。
日本学術会議会員(第25期、2020年10月)について、性別、年齢、所属大学、大学所在地を調べてみた。現在、会員は204人で、うち女性は77人(37.7%)となっている。大学所属は169人(82.8%、客員、特任の教員を含む。名誉教授のみは含まない)。
年齢は平均60.06歳。最年少が45歳、最高齢は69歳となっている。なるほど、菅首相が言うように「若手」は少ない。
所属大学は東京大がもっとも多く34人。京都大16人、大阪大14人、慶應義塾大10人、東北大9人、早稲田大8人と続き、おもに関東、関西の大学に集中している(ランキング参照)。
私立ではほかに日本大、明治大、中央大、東京理科大、関関同立が入っている。研究中心型大学ではない大学として、公立はこだて未来大、尚絅学院大、大阪芸術大、四国学院大、日本赤十字九州国際看護大などが登場している。
一方、国際基督教大、上智大、青山学院大、立教大、法政大、学習院大、東洋大、専修大などの名前は見つからなかった。
会員の所属大学がない地域(県)は次のとおり。
青森、岩手、秋田、山形、群馬、新潟、富山、山梨、長野、岐阜、三重、滋賀、奈良、和歌山、鳥取、島根、山口、高知、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
山陰、九州地方は大学や研究機関の数が少ないので、会員になる学者がなかなか出てこないということだろうか。
ここで「若手」を紹介しよう。40代が6人いる。
<45歳>
高山弘太郎(豊橋技術科学大、愛媛大)/食料科学、農学
馬奈木俊介(九州大)/経済学、環境学
所千晴(早稲田大)/総合工学、化学
<46歳>
狩野光伸(岡山大)/基礎医学、薬学
西谷陽子(熊本大)/基礎医学、健康・生活科学
<47歳>
米田美佐子(東京大) 基礎医学、食料科学