参加者の中には、自分が所属する会社の実情をオープンにしゃべってくれる社員もいるため企業や業界の内情を知るには打ってつけで、2日後には、この交流会で知り合った社員の勤務先の社長と面談予定だという。

「リモート交流会で知り合った社員の方が、社長に話をつなぎます、ということになって、直接会うことになったんです。M&Aが目的です」

 主催者の松若さんは名古屋市内の病院に勤務する看護師で、ファイナンシャルプランナーとしても働く。リアルの異業種交流会を月数回開催していたが、コロナの影響で5月以降、リモート形式に切り替えた。これまでのべ約500人が参加。保険、不動産、メーカー、運送、着付けの先生、弁当販売など様々な業種の人と知り合い、10人とビジネスにつながったという。

「国内はもとより世界中の人と瞬時につながれるのが一番の魅力です。ニュージーランドや英マンチェスター、米ニューヨーク在住の日本人も参加してくれました」(松若さん)

■目先の利害超えた人脈

 それぞれがくつろげるスペースから気軽に参加できるのもリモートの利点だ。自宅以外にファミレスやカフェから参加する人もいるという。

「だから、すぐにざっくばらんに打ち解け合えるし、直感もひらめきやすいんです」

 松若さんは9月、交流会で知り合った愛知県在住のメイクアップアーティストとコラボでリモート形式のセミナー「ズーム映えするメイクアップセミナー」を企画、開催した。

「メイクの先生とコラボイベントを主催するなんて思いもよらないことでした。でも出会った瞬間、この人とコラボしたいというアイデアが浮かんだんです」

 松若さんは、ビジネスの人脈づくりという当初の目的にこだわらなくなっているという。

「目先の利害は度外視して、友人感覚で会える人を全国に持つことができる楽しさに目覚めたんです」

 ネット上で知り合い、リアルで会った人は30人を超える。「ビジネス抜きでシンプルに仲良くなりたい」と思える人がほとんどだ。利害関係が絡まない「弱いつながり」のほうが、素の自分を見てもらえる、と松若さんは感じている。

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