乾燥肉タイプの代替肉を調理したもの
乾燥肉タイプの代替肉を調理したもの
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 無人コンビニや自動運転など、さまざまな新技術が実用化し、普及しようとしている現代。資源に関わる技術も日々進化している。

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 米国では現在、動物性食材を使わない「代替肉」市場が急拡大している。代替肉メーカーの急先鋒であるインポッシブル・フーズは資金調達に次々と成功し、競合するビヨンド・ミートの株価もうなぎのぼり。大手のバーガーキングが昨年8月から代替肉バーガーの全米展開を始めるなど、慌ただしい動きを見せている。

 日本でも、モスバーガーが今年3月から野菜と穀物を主原料にした「グリーンバーガー」の提供を開始。大手食品メーカーのネスレ日本も、21年から業務用を中心に国内参入する見込みだ。3月から代替肉のハムやソーセージなどを家庭用に発売した日本ハムの加工事業本部マーケティング推進部・福田主事は、自社製品についてこう語る。

「ハムは大豆のパサつき感や臭みを少なくし、ハムらしい食感や風味を再現しています。ハンバーグも材料や製造過程を試行錯誤し、肉の弾力感やほぐれ感を再現しました」

 水面下では、各メーカーの競争も激化している。

「健康志向やビーガン食需要の高まりを受けて、たんぱく質のとり方も多様性を求める声が増加してきており、市場規模は今後10倍に拡大すると言われています」(福田主事)

 代替肉の普及は、環境にもメリットがある。食品ロス問題ジャーナリストの井出留美氏が語る。

「特に牛肉は、製造工程で飼料・水の消費と温室効果ガスの排出量が大きいため、SDGs(持続可能な開発目標)の観点から摂取を減らす人もいます。大豆などを使った代替肉は温室効果ガスの抑制にもつながります」

 ここまできたら食べてみないと始まらない。通販サイトを利用して各社の代替肉を購入し5週間にわたって食べ比べてみた。大豆を原材料にしたものが大半を占め、ハム・ソーセージなどの加工肉と乾燥肉タイプに分類される。加工タイプは、大豆の原形をとどめないほどペースト状にされ、パテのような印象を受けた。乾燥タイプは一度お湯で戻す作業が必要。後味が肉々しさに欠け、コーンフレークのよう。食べ続けていたら、無性に本物の肉の味わいが恋しくなった。

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