独自の健康法で、20歳若く見える生き方を体現する。かつて不規則な生活が続いていた医師の南雲吉則さん(57)は、早起きを習慣づけてから人生が変わったという。

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 僕が早起きをするのは、その日一日、絶好調の状態で働くためです。外科医ですから、人の命を預かり、手術をします。前日に夜更かしをして、起きるのが遅くなるようでは、体調は万全とはいきません。

 毎晩9時には寝ますね。夜の10時から深夜2時までの間にぐっすり眠ると、「若返りホルモン」と呼ばれる成長ホルモンが脳から出て、体が若返ります。疲れた体が修復されて、体調がリセットされるのです。そして、朝は3時に起きます。まず水のシャワーを浴びて、その後、診療が始まる9時までの時間は、主に論文や本の執筆をしています。誰にも邪魔されずに仕事に熱中できるこの6時間は、僕にとって「人生のボーナス」と言えますね。

 実は4年ほど前までは、僕も夜更かしばかりして、眠気覚ましにコーヒーやたばこに頼る毎日でした。けれどある日、朝3時に起きて、この6時間の「ボーナス」に気づき、人生が変わったのです。体調も見違えるように良くなりました。

 朝食はあまりとりません。前日の晩に食べすぎた場合、消化管を休ませることが大切で、できれば何も食べないのがいちばんいいのです。

 とはいえ、おなかがすくこともあります。そんなときは、消化管の粘膜を治す作用のある「皮付きの果物」をいただくようにしています。果物の皮にはポリフェノールという成分が入っている。ポリフェノールには、果物の酸化を防ぐ「抗酸化作用」や、皮に傷がついても再び張ってくるように「創傷治癒作用」、菌やカビが実の中に侵入してこないようにする「抗菌作用」があります。こうした作用のおかげで、日頃傷ついた消化管が修復していくことが期待できるのです。

週刊朝日 2013年2月15日号