参戦が終了するまでホンダに期待したいものは… (c)朝日新聞社
参戦が終了するまでホンダに期待したいものは… (c)朝日新聞社
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 昨年、13年ぶりにF1で優勝したホンダにとって、今年はタイトル奪還を目指して挑んだシーズンだった。だが、蓋を開けてみれば、王者メルセデスは昨年よりもさらに強力になっており、シーズンを席巻。ここまでホンダの勝利は、パートナーを組むレッドブルとアルファタウリのそれぞれ1勝ずつにとどまっている。

 すでに2020年のF1は、11月1日にイタリアで行われた第13戦エミリア・ロマーニャGPで、今シーズン5回目のワンツーフィニッシュを決めたメルセデスがコンストラクターズ選手権を獲得。これは皇帝ミハエル・シューマッハを擁してフェラーリが1999年から2004年までの6連覇を上回る、F1史上最多記録という偉業だった。

 そのメルセデスに所属するルイス・ハミルトンが、11月15日に行われる第14戦トルコGPのレースを終えて、現在ドライバーズ選手権で2位以下につけている85点の差を77点以下にされなければ、ハミルトンの通算7度目のドライバーズ選手権制覇も決定する。

 しかし、ホンダにとって、最終戦アブダビGPまでの残り4戦は消化レースではない。すでに2021年へ向けた戦いが、早くも始められているからだ。

 ホンダは今年の10月に、2021年限りでF1への参戦を終了することを発表したが、同時にその最後のシーズンとなる来年はタイトルに挑戦できる最後のチャンスとなる。ホンダのF1活動を指揮している山本雅史マネージングディレクターも「2021年は有終の美を飾るべく、チャンピオンシップ争いをしたい」と語り、参戦終了を発表したものの、最後のレースまで全力で戦うことを誓っている。

 ホンダは2021年限りでF1活動を終了する決定にともなって、2022年に向けて開発してきた技術と知見を、1年前倒しして2021年用に新設計したパワーユニットに投入することを決めている。その新しいパワーユニットの開発がいま、まさに佳境に入っている。

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今季残り4戦は来年への試金石に?