体を動かすと考えすぎを防げるため、うつ予防になるという。また、セロトニンや幸せを感じるエンドルフィンの分泌も増えるという説もある。

(2)活動的な気分転換を
「ずっと家にいて、暗くなったら酒を飲んでストレスを解消するのが、もっともよくない対処法です。違う気分転換を図りましょう」(西多さん)

 お勧めは、近場のホテルや旅館への宿泊、一人の日帰り旅行など。環境をがらりと変えることがポイントだ。

(3)ビタミンDを取る
「キノコを食べるといい」と思い込んでいる人が多いが、実は間違い。

「キノコに含まれるビタミンDの量はわずかで、かつ体に効率よく使われにくいタイプなのです。食事で取るとしたら、サケや青魚を。魚の缶詰、卵にも多く含まれます。ビタミンDが強化された乳製品、飲料、肝油のほか、サプリメントを利用してもよいと思います」(満尾さん)

 ビタミンDのサプリは1カ月分でも数百~1千円程度だ。1千~2千IU(IUは国際単位。1千IUで25マイクログラム)を毎朝、取るとよいという。

 こうした対策をしてもつらさが取れず、日常生活にも支障が出るようなら、なるべく早く医療機関へ。大野さんはよい精神科医の見分け方として「相性」「話し方」「薬の出し方」を挙げる。

「最も大事なのが相性で、薬の効果にも影響を与えるほどです。周りの評判よりも、『この先生は信頼できる』という気持ちを大切にしてください」

 話し方は、「簡潔に、わかりやすく話をしてもらえたか」が重要。精神科やメンタルクリニックは受診者が多く、5分、10分の外来で終わってしまうことも少なくない。その時間内で、患者にわかりやすく説明できる医師のほうがよい。

「薬の処方に関して言うと、基本的には最初は1剤から始め、そこから患者さんと相談しながら必要に応じて増やしたり、別の薬に変えたりしていきます。いきなり何剤も出すような医師は、よい精神科医とは言えません」(大野さん)

 コロナ禍で日照不足の今、うつ病の発症リスクは決して低くない。しっかり対策を取りたい。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2020年11月20日号