大阪大学免疫学 フロンティア研究センター 招聘教授 宮坂昌之 (本人提供)
大阪大学免疫学 フロンティア研究センター 招聘教授 宮坂昌之 (本人提供)
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 本格的な冬が到来し、日本列島がコロナ「第3波」に見舞われている。急増する重症者に医療は逼迫。だが、政治家たちのメッセージは「経済が大事」「感染対策が大事」と、ブレブレで、国民は戸惑うばかり。日本はどのような道を歩むべきなのか。聞いた。大阪大学免疫学フロンティア研究センター招聘教授の宮坂昌之氏に聞いた。

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 年末年始の帰省や旅行は、感染症が専門の先生方はなるべく控えるべきだとおっしゃいます。原則はそのとおりですが、過度な自粛は経済的な閉塞につながるなど弊害が少なくありません。旅行という行動自体では、コロナの感染は増えません。旅先で羽目を外すから感染を広げてしまうのです。

「Go To」の実施で感染が再拡大するのは想定されていたこと。それでも感染症対策を十分行った上で、経済対策もやっていかざるを得ない。そんな中でも感染症を広げないためには、自分自身で危険を回避する「自己アラート」が鍵。「自己アラート」がかけられれば、旅先でマスクを外し大声で宴会をするようなことはしないはずです。

 直近1週間の新規感染者数を見ると、東京や大阪など多いところで人口10万人当たり20人程度です。そのうち活発に行動して他人にうつす人は1~2割ほどですから、1万人当たり0・2~0・4人。PCR検査の実施数が十分ではないから実態の10%しか把握していなかったとしても、1万人当たり2~4人です。そう考えると、飲食店で感染者に出会う確率はそう多くないはずです。

 店によっても対応はさまざまです。座席の間にアクリル板を設置するなど感染症対策をしっかりやっている店もある一方、密状態で換気が悪く、マイクロ飛沫がたまっているような店もあります。「自己アラート」で慎重に判断すれば、安全そうな場所と危険な場所の判断もできます。

 日本で米国のような感染爆発が起きないのは、複合要因があります。まず、2月にダイヤモンド・プリンセス号の集団感染が起き、みんな怖がって早い段階から対策をとった。海外からの人の流入を止めたので、国内の感染者数が一定規模内で推移しています。マスクと手洗いを徹底し、対人距離を保つなど国民の努力と協力も要因の一つです。

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