年末年始に帰省することによって、地方の実家や親戚宅へウイルスが広がってしまうかもしれないという不安を払拭するのは難しいでしょう。

 しかし、今年は高齢者にとっても「我慢の1年」でした。「孫の顔が見たい」という声をかなえたいのはもちろんのこと、帰省する人も親戚と会うことでストレスが和らぐなど、大切な癒やしの時間になるかもしれません。では、実際に帰省することを迷っている人は、どうすればいいのでしょうか。

■コロナ禍の中、高齢者がいる実家に帰省してもいいのか

「帰省をするかどうか迷ったら、まず、ご両親に電話やメールなどで相談をしてください。その際、実家の近所に住む方々の雰囲気を知ることが大切です」

 そう話すのは、現代礼法研究所の代表である岩下宣子先生です。日ごろから周囲とのコミュニケーションがきちんと取れているか、実家の近所の住人たちとの関係性がより良いものであるかどうかが、コロナ禍の今だからこそわかるといいます。

「『息子夫婦が年末に帰省します。家族全員、PCR検査を受けて陰性という判断が出ましたので安心してください。よろしくお願いします』。ご近所の方へ、この一言があるのとないのとでは、今後の関係がもっと窮屈なものになってしまうこともあるでしょう。相手のことを先回りして考え、丁寧に説明をし、ご近所さんの不安を和らげてあげることが大切です」

 最近、都内の駅前にはクリニックで自費検査を受けるよりもPCR検査が安く受けられる施設が開設。唾液からウイルスの感染を調べるもので、手軽に受けられると評判になっており、帰省する際に利用する人もいるといいます。

 高齢者の両親が「マスクをするのが窮屈」とすぐに外してしまったり、マスクをすること自体を拒んだりしている場合は、「孫が選んだの、ぜひつけてみて」とプレゼントをしてみるのも手だと、岩下先生は話します。

「白や黒だけでなく、昨今はカラフルなモチーフのマスクもたくさん売られています。また、『自分のために選んでくれた』という気づかいが喜びを生みます。マスクのプレゼントを通して、親とのコミュニケーションがより増えていくきっかけになるはずです」

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帰省しない、できない場合は?