2020年もいよいよ大詰め。コロナ禍の今年はエンターテインメント業界も激震に見舞われたが、映画界も“異例”ずくめだった。『鬼滅の刃』が記録的なヒットとなると同時に、2020年公開の興収上位の作品はほとんどが邦画で占められ、洋画はほぼランクインしないという特殊な年となった。また“鬼滅”の陰でひっそりと2位(暫定)となったのも、少し意外な作品で……。特殊すぎた今年の映画事情を振り返る。
【写真】2020年映画興収ランキングの意外な2位は…この作品!
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今年の映画界は、まさしく“鬼滅イヤー”だった。10月中旬に公開された『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の興行収入は、公開10週目となる12月20日時点で311.6億円を記録。歴代1位の『千と千尋の神隠し』にあと少しまで迫る勢いをみせている。
一方この発表の5日前、東宝は『千と千尋の神隠し』について、今年6~8月にリバイバル上映された分の興収8.8億円を足して、308億円から316.8億円に更新したことを発表。鬼滅が308億円の記録を抜こうとしていたタイミングでのこの発表は、より一層の注目をあおる形となった。
歴代1位をめぐるデッドヒートに注目が集まる中、鬼滅に続く今年の2位がどの作品なのかは、意外と知られていないのではないか。
今年公開の興収2位は『今日から俺は!!劇場版』だった。7月中旬に公開され、約4カ月に及ぶロングラン上映で記録を伸ばし、今年の実写映画の中ではNo.1の座を射止めた。
続く3位は、“コロナ前”の1月に公開された『パラサイト 半地下の家族』。同作は2月にアカデミー賞作品賞を受賞し、アジア初の快挙を成し遂げた。日本でも大きな話題を呼び、客足を伸ばしていたはずだが、それでも『今日から俺は!!』には及ばなかったのだ。約2年前のテレビドラマ発の「ヤンキー映画」が鬼滅に続くヒットとなったのは、大健闘といえるだろう。なぜ、ここまで伸びたのか。
「『今日から俺は!!』は鬼滅と同様、洋画の大作をはじめとしたライバル不在の中で大ヒットしています。同作の公開は7月で、コロナ禍でストップしていた映画館が再開したタイミング。エンターテインメントを求める観客たちが、テレビドラマですでに人気を確立し、確実に楽しめるコンテンツに集まった側面はあると思います」