おいでやす小田(左)とこがけん(右)が今年のM-1では大健闘(写真提供/吉本興業)
おいでやす小田(左)とこがけん(右)が今年のM-1では大健闘(写真提供/吉本興業)
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 12月20日、漫才日本一を決める『M-1グランプリ2020』が放送された。昨年の大会では、正統派漫才師のミルクボーイが圧倒的な面白さを見せつけて文句なしの優勝を果たした。

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 一方、今年の大会は、昨年に比べると波乱の展開となった。ミキ、ぺこぱ、ゆにばーすといった名の知れた実力者たちが予選で姿を消し、錦鯉、ウエストランド、東京ホテイソンなどが初めて決勝に進んだ。本命不在の状況の中で、個性豊かな漫才師たちがぶつかり合い、死闘を繰り広げた。

 そんな大混戦を制して優勝を果たしたのはマヂカルラブリーだった。彼らのネタでは、ボケ担当の野田クリスタルがセンターマイクから離れて、動き回ってボケている時間が長い。その変則的なスタイルに違和感を覚えた人も多かったようで、大会終了後には一部の視聴者から「これは漫才ではない」などという声もあがった。

 大混戦の今年の大会でマヂカルラブリーと並ぶほど強烈なインパクトを残したのが、準優勝を果たしたおいでやすこがだ。おいでやす小田とこがけんという2人のピン芸人によるユニットコンビである。

 この日、おいでやすこがが演じた2本の漫才は、いずれも「歌ネタ」だった。こがけんが歌を歌い、それに対しておいでやす小田が大声でツッコミをいれていくという形式だった。

 1本目の漫才の基本的な構造はいたってシンプルなものだ。漫才の冒頭で、こがけんがおいでやす小田に対して「カラオケで自分が歌うと場が盛り上がらない」という相談を持ちかける。どんな歌を歌っているのかたずねられて、こがけんは次々に歌を披露していく。

 彼がここで歌うのは、歌い出しは有名な曲に似ているのに、途中から全く違う曲になるものばかり。黙って聞いていられなくなったおいでやす小田が「なんやねんその曲! きっしょい歌!」と声を張り上げる。その後も、こがけんが妙な歌を歌うたびに、おいでやす小田のパワフルなツッコミが炸裂する。

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単純な構造のネタでなぜ爆発的な笑いが起こるのか?