【MF】

 MFは4人を選んだ。1人目は阿部敏之(帝京)。第70回大会で、エース・松波正信との2年生コンビで次々とゴールシーンを生み出し、決勝まで勝ち上がって四日市中央工との伝説の名勝負を演出。左足からの長距離パスの軌道は、実に美しかった。

 2人目、三浦淳宏(国見)は外せない。1年時からベンチ入りして優勝を経験すると、2年時はベスト4。そして3年時の第71回大会では10番を背負い、中盤でゲームを作りながら積極果敢にゴールも陥れ、山城との決勝ではドリブルからの鮮やかな左足ミドル。大会6得点を挙げて自身2度目の全国制覇を果たし、小嶺忠敏監督をして「国見史上最高の選手」と言わしめた。

 3人目には中村俊輔(桐光学園)を選びたい。2年時の第74回、3年時の第75回大会に連続出場し、鋭いフェイントからのドリブル突破、そして精度抜群の左足キックで観客を沸かせ、3年時には体調を崩しながらもチームを神奈川県勢48年ぶりの決勝に導いた。中学時代に横浜マリノスユースへの昇格を逃した男が高校サッカー界で輝きを放った。

 そして4人目はMF本山雅志(東福岡)。1年時からレギュラーとして活躍し、3年時の第76回大会では攻撃的MFとして高い技術と豊富なアイデアを用いて次々とチャンスを作り出して全国制覇。同年、インターハイ、全日本ユースと合わせて高校サッカー史上初の三冠を達成し、公式戦49勝2分無敗という圧倒的な強さを見せた“赤い彗星”東福岡が誇るスーパーエースだった。

【FW】

 FWは3人。歴代選手たちの中でも別格のスター性を誇ったのが、小倉隆史(四日市中央工)だ。卓越したボールコントロールから強烈な左足シュートを繰り出し、3年時の第70回大会での帝京との決勝戦では、後半終了間際に同点に追いつく執念のダイビングヘッドを決めるなど、勝負強さもピカイチだった。プロ入り後は「日本代表を背負う男」として期待されたが、度重なるケガで大成できなかったのを悔やむファンは今も多い。

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