支持率低下で、解散のタイミングについて難しい判断が要求される菅義偉首相。とはいえ衆院議員の任期は10月までのため、選挙が近いことは間違いない。仮に菅首相が解散を行えばどうなるのか。本誌は政治ジャーナリストの野上忠興氏と角谷浩一氏に各政党の獲得議席数と、全選挙区の当落予測をしてもらった。
その結果は衝撃的なものだった。自民は「49議席減」(野上氏)、「29議席減」(角谷氏)といずれも議席を大きく減らし、単独過半数(233議席)割れも現実味を帯びてくる。野上氏が語る。
「自民が昨年12月初めに選挙情勢を独自に調査したら、40議席程度減という結果が出たそうです。さらに厳密に見ていくと、得票数の割合の差が5ポイント以内で『誤差の範囲』という激戦区が大都市圏を中心に数多くあった。派閥の領袖の一人は『50議席減もあり得る』と頭を抱えたといいます」
この時点から年末年始を挟み、コロナ対策の遅れが次々と露呈。政権への風当たりは強まる一方だ。野上氏が続ける。
「逆風が地吹雪となってホワイトアウト現象が起きたような状況で、安定した選挙戦などまったく見通せない。自民の選挙関係者から『好転の要素もない先行きを踏まえれば、いまなら70議席減の可能性だって絶無ではない』との声すら漏れ伝わってきます」
一方の角谷氏は「個別地域の情勢だけ見れば自民が地盤を固めている選挙区が多い」としながらも、こう指摘する。
「コロナ対策の失政がこれ以上続けば、飲食業者らを中心に自民離れが全国で広がる。無風区と思われた選挙区でも情勢が一変し、自民がガタッと議席を減らす可能性があります」
公明の党勢の衰えも影響しそうだ。17年の衆院選で公明の比例区での獲得票数は697万票と、現行の選挙制度で初めて700万票を割った。支持母体の創価学会がコロナ禍によって政治活動を制限せざるを得ないことも響いてくる。公明の元幹部がこう話す。