投手にとって、下半身は「発射台」ともいえるもの。特に速い球を投げる投手は、下半身がしっかりしないと、肩、ひじに負担がかかってしまう。一昨年のドラフト1位で入団したロッテの佐々木朗希、ヤクルトの奥川恭伸が、なぜ1年間じっくりと育てられたか。155キロを超え、160キロを投げる前に、故障しては意味がない。2人とも、下半身をしっかりと強くしてきたはずだ。

 今年のキャンプは宮崎、沖縄ともに無観客で行うことになった。受け入れる宮崎、沖縄の自治体の方々も苦渋の決断だったと思う。その施設を借りてキャンプを張ることができる野球界は幸せである。感染拡大を絶対にしないとの決意でキャンプを行ってもらいたい。

 キャンプで若い選手の成長や、発見をするのを楽しみにしている私も、緊急事態宣言が明けるまではキャンプ視察は控えなければならない。しばらくはテレビでキャンプの模様をチェックしたい。12球団が無事に3月の開幕を迎えられること、ファンの方々に喜んで受け入れてもらえることを願うばかりだ。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2021年2月5日号

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