辻元清美衆院議員(左)、佐藤ゆかり衆院議員 (c)朝日新聞社
辻元清美衆院議員(左)、佐藤ゆかり衆院議員 (c)朝日新聞社
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 政治ジャーナリストの野上忠興氏と角谷浩一氏が、衆院選全国289選挙区の当落予測を行なった。今回は近畿、中国の議席について。

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 混戦の大阪。選挙のたびに激戦が伝えられる大阪10区の立憲・辻元清美氏は今回どうか。ある大阪府議がこう話す。

「辻元さんが街頭に立つと人の流れが変わる。あの強烈なキャラに圧倒され、自民の現職は存在感が薄くなっている」

 昨年の立憲の代表選では枝野氏の対抗馬とも目されたが、出馬しなかった経緯がある。

「辻元氏は自分の選挙が厳しいからと辞退し、選挙区の立て直しを図ったそうです。その効果か、一時の劣勢からだいぶ持ち直している」(角谷氏)

 大阪の最激戦区の一つと言われるのが大阪11区。14年には佐藤ゆかり氏が小選挙区で勝ったが、民主(当時)の平野博文氏、維新の伊東信久氏も比例復活し、1選挙区に3人も衆院議員がいた。今回、維新は元枚方市長の中司宏府議を擁立する。

「佐藤氏と中司氏は後援者がかぶる。2人の叩き合いとなり、浮上するのは平野さん」(大阪市議)

 角谷氏も佐藤氏が不利と予測する。

「平野氏は立憲の選対委員長なので自分が落ちるわけにはいかない。必死の形相ですよ」(角谷氏)

 大阪の情勢をかき回しそうなのが、選挙区で3人の候補を立てたれいわ。昨年11月の大阪都構想をめぐる住民投票では山本太郎代表の街頭演説が多くの聴衆を集め、大阪での存在感が増した。

「3人の候補のうち、誰が惜敗率で比例復活できるかも見どころの一つです」(角谷氏)

 肝心の山本太郎氏はどこから出馬するのか。13年には参院東京選挙区から出馬して当選したが、次の一手は読めない。

「山本氏は兵庫出身。本人は明言を避けているが、れいわは大阪に事務所を置いており、関西圏で出る可能性もあると警戒している」(維新の会関係者)

 中国地方で全国の話題を集めるのは広島3区。公職選挙法違反の罪で公判中の河井克行元法相の選挙区だ。自民県連は石橋林太郎氏を立てたいが、公明は斉藤鉄夫副代表を比例区から転じて出馬させる方向で調整が難航。岸田派を率いる岸田文雄前政調会長の指導力が問われている。

「地元では岸田氏が自民党の独自候補を決めると誰もが信じていたのに、出遅れた。党本部も斉藤氏の出馬を支持する方向だという。二階幹事長のしたたかさと、岸田氏の決断力のなさが露呈した」(自民の広島市議)

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