「バーニーズ・ニューヨーク新宿店」がある建物。バブル崩壊後も同店と伊勢丹新宿店はおしゃれ層に人気だったが……(撮影/ライター・福光恵)
「バーニーズ・ニューヨーク新宿店」がある建物。バブル崩壊後も同店と伊勢丹新宿店はおしゃれ層に人気だったが……(撮影/ライター・福光恵)
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「バーニーズ・ニューヨーク」の日本1号店の新宿店が2月末に、約30年の歴史に幕を下ろす。「新しい、高級な新宿」の象徴的な存在の一つだったが、閉店の背景には何があったのか。AERA 2021年2月15日号で取り上げた。

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 新宿を高級な街に……そんなニュースを聞いたのは、バブルに沸いていた1990年。伊勢丹と提携した米国の高級百貨店「バーニーズ・ニューヨーク」の日本1号店、新宿店オープンのときだ。その後、資本元を何度か変え、現在はセブン&アイ・ホールディングス傘下にあるそのバーニーズ・ニューヨーク新宿店が、2月末に閉店する。同社広報部は説明する。

「新宿店は売上高の減少が継続しており、回復の見込みが立たないことで、退店という結論に至りました。同時に、建物の老朽化や賃貸借契約更新のタイミングもありました」

 2019年、経営破綻(はたん)した米国の本家「バーニーズ・ニューヨーク」の影響は「直接はない」(同)といい、今後首都圏は、銀座本店、六本木店、横浜店及びオンラインストアに注力していく方針だという。

■高級店に胸ときめく

 実は自分も、長年の新宿区民。この30年、同店で買い物をしたことは数えるほどしかないが、オープン時は、ベルボーイのいる高級店が店を構える新しい新宿に、胸をときめかせたものだ。

 そんな同店の閉店には、インバウンド激減などで客足が減った新宿の衰退が関係しているとも言われる。同店のある「新宿モア街」エリアを擁する「新宿駅前商店街振興組合」の事務局長・濱中治男さんはこう話す。

「バーニーズのあるモア4番街は、05年からの社会実験で、全国で初めて区道にオープンカフェを設置したこのエリアのシンボル的な通り。さらに同店はそのシンボルといえる店舗です。この時期に、大型店の閉店のニュースは頭が痛いです」

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