アトムちゃん(提供)
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 ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、犬のアトムちゃんです。

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 34歳の時、海外で働きたくてマレーシアに飛んだ。幸い日本の商社に採用され、生活がスタートした。

 しかし仕事は甘くなく、朝から晩まで仕事に追われていた。

 ある日、ペットショップでオレンジ色のポメラニアンに会った。マレーシアはイスラム国家なので、犬は不浄のものだ。そのため、犬をペットとして飼うのは多くが中華系、インド系、外国人だ。

 当時の私にとって決して安くはない値段だったが、子供の頃から犬と暮らしていた私は、ありったけの貯金をおろしてペットショップに向かった。もう名前はアトム(雄)と決めていた。

 子供の頃、近所の家の窓辺にいるポメラニアンをずっと見ていた。何十年も経って、やっと自らの胸に抱くことができた。ただ、アトムが来た翌日も私は仕事に行かねばならず、彼の留守番の時間はとても長かった。申し訳なく思ったが、私が働かなければ2人で路頭に迷うことになる。

アトムちゃん(提供)
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 アトムは寂しかったようであちこちにマーキングをし、ペットシートを散らかすなどの問題行動があった。

 私との生活はこの子にとってつらいものなのではないだろうか? アトムが7歳になった時にそう思った。

 暮らしを改善しなければ彼の健康に支障をきたすかもしれない。そして大好きだったマレーシアからアトムだけを抱き、一人で飛行機に乗った。

 あれから5年あまりが過ぎた。問題行動はピタリと止まった。いままでそばにいられなかった分を取り返すかのようにべったりと一緒にいる。アトムは12歳を超え白髪も増えたが、毎日私に文句を言いながら元気に暮らしている。(茨城県土浦市/51歳/主婦)

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週刊朝日  2023年2月10日号