4月に「改正高年齢者雇用安定法(70歳就業法)」が施行され、さらに長く働けるようになっていく。けれども、希望する職場で仕事ができるだろうか、子や孫のような若手社員ともうまくやれるのか。シニアにとっては不安や心配も多い。いよいよ到来した「70歳定年時代」を生き抜く術を探る。
帝国データバンクの調査によると、企業の70歳就業法への対応状況(複数回答)では、「70歳までの継続雇用制度の導入」が25.4%で最も多かった。次いで、「70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」(6.9%)、「定年制の廃止」(5.1%)、「70歳までの定年引き上げ」(3.4%)などだった。「もともと70歳まで働ける制度がある」との回答も、16.4%にのぼった。
ただ、4月からの改正法はあくまで「努力義務」にとどまるものだ。70歳までの対応が強制されるわけではない。
それでも、企業にとっては、定年延長や再雇用など直接雇い続けるこれまでの手法だけでなく、ほかの会社への再就職を後押しするなどして70歳定年時代に対応することになる。
つまり、長く働き続けられる社会になるとはいえ、必ずしも望む仕事を続けられるとは限らないのだ。改正法に対応している職場だからといっても今の会社にはいられなくなったり、別の会社を探さなければならなくなったりする可能性がある。まさに「勝つ人」「負ける人」が出てくるのだ。
「シニア人材は現役世代以上に即戦力かどうかが問われます」
こう話すのは、50歳以上のシニア専門の人材サービスを手がけるシニアジョブの中島康恵代表だ。「求人が多いのは、会計、税務や施工管理、自動車整備、看護、医療事務など明確なスキルや国家資格を持つ人。人物像としては、新しいことを積極的に学ぶ好奇心や意欲があって、年下の同僚や上司ともうまくコミュニケーションが取れる謙虚な姿勢や柔軟性も大事です。反対に、態度やプライドばかり大きくて、自分の考えややり方を押し通そうとするような人は敬遠されやすい」
日本総研創発戦略センターの小島明子スペシャリストは、次のように解説する。