しかも、バリュー株は財務内容がよく安定した収益基盤を持つ大企業が多く、3~4%の魅力的な配当利回りを誇る銘柄も多い。配当を受け取りながら株価の上昇を待つ長期保有にピッタリといえるだろう。
長期保有が前提の株式投資とはいっても、なるべく安いところで買いたいと考える人は多い。特に急ピッチで上昇している銘柄に対しては、高すぎて買いにくいと感じている人もいるかもしれない。
しかし、今後は「安く買って高く売る」という意識を根本的に変えていく必要があると小川さんは指摘する。
「近年の日本株は、上昇する銘柄は上がり続け、上がらない銘柄はずっと低迷し続けるという二極化の傾向が顕著になっています。安い銘柄を買うのではなく、多少高くても上がっている銘柄を買い、さらに高いところで売ることを目指す発想に切り替えないと、市場全体は上昇しているのに自分の持ち株だけは上がらないという状況に陥ってしまいます」
売り時についても同様だ。決算が出るたびに内容をチェックして保有を続ける価値があるかどうかは検証する必要があるが、目先の株価の動きに対しては一喜一憂すべきでないと小川さんはアドバイスする。
ちなみに21年の株式市場については、窪田さん、小川さんともに、「年後半に上昇が加速する」という見方で一致している。
「昨年までは金融緩和や低金利政策などでカネ余りが起こることで株価が上がった『金融相場』でしたが、21年は企業業績の改善で株価が上昇する『業績相場』にシフトしました。日本株への影響が大きい米中の景気回復が、企業業績と年後半の株価上昇の最大のエンジンになるでしょう」(窪田さん)
「新型コロナの収束が予測できない以上、どの企業も22年3月期の業績計画は控えめに見積もらざるを得ないので、決算発表シーズンの5月までは少しもたつく相場になる可能性もあります。それでも、その後は四半期決算が出るたびに好業績を確認して株価が上昇していく1年になると予想します。年末の日経平均株価は、3万2千円から3万3千円程度はあり得るとみています」(小川さん)
株式市場はすでにアフターコロナの景気回復を見据えており、株価上昇の恩恵を受けられるのは、リスクを取った投資家だけ。とはいえ、投資は自己責任で!(ライター・森田悦子)
※週刊朝日 2021年4月9日号