日本企業の中でも、特に米国での売り上げが大きい企業がその恩恵を受けやすいと考えられるが、小川さんは農業機械のクボタ、住宅設備機器のTOTOなどに注目しているという。
「住宅着工件数など、米国の住宅需要を示す経済統計は高水準が続いています。米国は日本と違って広い庭を持つ家も多く、ガーデニング向け農業機械の需要の拡大が期待されます。また衛生意識の高まりから温水洗浄便座のニーズも高まっているようです」(小川さん)
また、バイデン新大統領は就任前から再生可能エネルギーを推進する経済政策に意欲を示しており、環境関連銘柄にも引き続き期待できそうだ。小川さんは、環境分野に強い素材メーカーである東レ、再生可能エネルギーをためておくうえで欠かせない蓄電池メーカーの日本ガイシなどに注目する。
コロナ禍にもかかわらず株価が堅調に推移した2020年を振り返ると、成長期待の高い「グロース株」が上昇した年だったといえる。情報通信やITサービスなど時流に乗った新興銘柄が割高な水準までどんどん買われ、相場をけん引してきた。
しかし、21年はそれが一転し、株価が割安な「バリュー株」に注目が集まっていると窪田さんは指摘する。
「20年までは金融、資源、製造業など旧来型産業のレッテルを貼られがちな業種が割安に放置されてきましたが、21年に入ってからはこうしたバリュー株が優位になって株式市場の上昇を支えています。年後半にかけても、こうした銘柄がリードしていく相場になるとみています」
実際、足元では米国の長期金利が上昇傾向にあることから、低金利下で長く低迷していた銀行株などが力強い値動きを見せている。小川さんも、当面はバリュー株優位という意見だ。
「一般的には景気回復を背景に金利が上昇する局面では、景気に敏感な業種が上昇します。日本株なら、自動車、素材、化学などのバリュー株がそれにあたり、特に素材は、脱炭素の追い風も受けられるので注目しています」