2年ぶりの開催となった選抜高校野球。1日に行われた決勝戦は東海大相模(神奈川)がサヨナラ勝ちで明豊(大分)を下し、10年ぶり3度目の優勝を果たした。開幕前から好投手が多く出場すると言われていたが、ほとんどの選手が期待通りの活躍を見せたことが印象深い。主な注目投手の今大会の成績をまとめてみたところ以下のようになった。
小園健太(市和歌山)
2試合 14回 被安打7 失点1(自責点1) 13奪三振 8四球 防御率0.64
畔柳亨丞(中京大中京)
4試合 27回1/3 被安打15 失点1(自責点1) 31奪三振 12四死球 防御率0.33
達孝太(天理)
3試合 26回 被安打16 失点4(自責点3) 24奪三振 17四死球 防御率1.04
石田隼都(東海大相模)
5試合 29回1/3 被安打14 失点0 45奪三振 2四球 防御率0.00
大阪桐蔭の松浦慶斗、関戸康介の二枚看板は結果を残すことはできなかったが、それ以外にも木村大成(北海)、花田侑樹(広島新庄)、野崎慎裕(県岐阜商)、深沢鳳介(専大松戸)なども見事な投球を見せた。これだけの投手が前評判通りの結果を残す大会も珍しい。開幕から12試合が終了した時点でホームランが出なかったこともあって、コロナ禍による打者の実戦不足を指摘する声もあったが、全体的に投手のレベルが高かったことは間違いないだろう。
そして大会の行方を大きく左右したのも投手の起用法だった。今大会から1週間で500球という球数制限が導入され、1回戦で最も遅く登場した畔柳は準決勝では121球までしか投げられない状況となっていた。結果として畔柳は準決勝の先発を回避し、リリーフで好投を見せながらも右肘の不調を訴えて2回1/3で降板となった。また、達も日程的に恵まれていたこともあって畔柳のように厳しい制限はかからなかったが、準決勝では登板を回避してチームも敗れている。端的に言えば、絶対的なエースを大会序盤で使い切ってしまったということである。