その書類には「講ずべき措置」の欄に「施設の使用制限」とあり、「20時から翌日5時まで(酒類の提供を伴う場合は19時から翌日の11時まで)の間において、別紙に記載する施設を営業のために使用することの停止」と書かれていた。
「措置を構ずべき期間」としては、「令和3年3月19日から令和4年1月7日付新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言に関する公示に係わる東京都における新型コロナウィルス感染症緊急事態が終了するまでの間」となっていた。さらには、「法第45条第5項の規定に基づき、命令をした旨を東京都ホームページで公表する場合がある。命令に応じる場合は[問い合わせ先]に連絡すること。
対象施設の名称及び所在地を公表する場合において、命令に応じたことが確認できたときには、東京都ホームページから当該情報を削除する」と、警告していた。同店では「命令」に応ぜず、朝までの営業を続けていたとという。
都からの一連の通達をどう受け止めたのだろうか。前出の店の店主はこう話した。
「東京都からは要するに弁護士を雇って弁明するチャンスがありますよと言ってきたわけですが、うちは裁判になったとしても、裁判所へ行かないし、争うつもりはありません。裁判所から『過料』の判断が出たら、支払います。行政処分だから、前科とは違って記録には残らないと聞きました」
なぜ、朝まで営業しているのかと問うと、こう答えた。
「みんな、お酒を我慢できない人が一杯いるんですよ。だから、お客さんの行列ができて、座席がたりないほどです。今後、営業が制限されればそれに従いますが、そうなるまでこのまま朝までの営業を続けるつもりです」(同)
時短協力金1日一律6万円では少ないという。
「うちは一等地にあるから家賃も高い。そのくらいの金額は雀の涙。そんなことで時短営業していたら店が潰れてしまう。雇用を守るため、店を守るため、営業しなきゃいけないんです」
時短協力金についても、支給の遅れが指摘されている。都内の椅子が7~8席の小規模飲食店の女性店主はこう話す。
「協力金の申請はしたんですが、申請書類が複雑でややこしく、書類に不備があると言われて、まだ支給されていません。本当にもらえるのか、銀行口座に振り込まれるまでは心配です」
コロナ感染者も増えており、飲食店の受難はまだ続きそうだ。
(AERAdot.編集部 上田耕司)