一方、廣岡は巨人合流直後の3月4日、古巣ヤクルトとのオープン戦(東京ドーム)で移籍後初本塁打を放った。開幕へ向けての調整中とはいえ、守護神・石山泰稚から放った1発は今後に期待を持たせた。

「結果を求め過ぎていて固くなっていたので、割りきってスイングしました。ストレートでしたが芯で捉えて良い感触でした」(廣岡)

 その後はオープン戦でヒットが出ずに開幕は二軍で迎えたが、ファームで打率.323、2本塁打と好成績を収め、4月1日に一軍に合流。田口が先発した3日の試合では先発出場し、ヒットは出なかったものの、早くも“トレード対決”が実現した。

「3拍子全てが規格外のものを持っていて、大化けする可能性を感じさせる。問題なのは性格が素直過ぎること。周囲から言われたこと全てを受け入れようとする。悪く言えば優柔不断な部分もある。自分を信じて少しわがままでも良いくらい」(ヤクルト関係者)

 廣岡は15年ドラフト2位で奈良・智弁学園高からヤクルトに入団。1年目に初打席初本塁打を放ち、4年目の19年には91試合に出場、10本塁打を記録した。将来の主力として期待はされていたが、昨季は代打などが中心で87試合の出場にとどまっていた。

「突然のことで正直、驚いています。スワローズには入団してから5年間、たくさんの方々にお世話になり、大変感謝しています。新天地で活躍することが、皆さんへの恩返しにもなると思いますので、新たな気持ちで頑張っていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」(廣岡)

「放出には誰もが驚いた。チームは2年連続最下位に沈んでいるが、戦力はそこまで劣らない。若手が育ち勢いがつけば分からない。その中心として期待されていたのが廣岡。外野までやらせたのも実戦経験を積ませるため。将来性豊かな素材を1つ失ってしまった」(ヤクルト担当記者)

 巨人は菅野智之を筆頭に右の好投手は揃っており、左の田口がいることがスパイスとなっていた。また村上宗隆という左の大砲と並ぶ、右の強打者候補が廣岡だった。今回のトレードは、両チームにとって大きな決断だった。

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実は巨人にとって痛手かもしれない