ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、東大クイズ王の伊沢拓司さんについて。
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毒舌が持て囃されたのも今は昔。現在は「謙虚」「低姿勢」「配慮」なんてものが重宝がられ、ちょっとでも「上から目線」な言動を晒せば、ネットを中心に「おめえ何様だ?」と嫌われる傾向にあります。
謙虚さも配慮ももちろん大切ですが、いわゆる事勿れ主義の八方美人ほど、つまらない上に胸糞悪いものはありません。しかし、ネット民と呼ばれる人たちにそんな理屈は通用しない。とにかく彼らは、「偉くないのに偉そう」と判断した人たちのことを徹底的に嫌います。
とは言え、ただ偉そうにしているからといって頭ごなしに嫌われるわけでもないらしく、何らかの「正当な根拠」があれば、「毒舌」や「上から目線」も、むしろ好意的に受け入れられるようです。では、その「正当な根拠」とは何なのか? まずは「面白い」こと。面白いとさえ判断されれば、どんなに偉そうにしていようと「面白いので良し」と、これまた「どこから目線の何様?」な一言で許されてしまう。さすが視聴者様。さすが世間様。
そしてもうひとつ。ネットに限らず、世間の方たちって「東大出身」に滅法甘くないですか? 甘いどころか「東大出身者には上から目線で来てほしい」と、ねだっているようにすら感じられるのですが……。例えばホリエモンこと堀江貴文さん。彼は世間の「おねだり」に、とても上手に応えていると思います。むしろ上手過ぎて結果下手くそ、みたいな。